下北半島(歴史)概要: 下北半島(むつ市)は青森県の北東部にある半島で大間崎は本州最北端にあたり、太平洋、津軽海峡、陸奥湾に囲まれ対岸には北海道と津軽半島があります。
下北半島は野辺地町から大きく湾曲し上空から見ると鉞(まさかり)の形になっていて鉞部分は標高879mの釜臥山を中心に恐山山地(下北半島の南西から北西にかけて広がる山地)が広がっています。
下北半島の中心部に山地がある為、西側が日本海気候、東側は太平洋気候と狭い範囲で自然環境が異なり、本州最北端ということからニホンザル、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、シュレーゲルアオガエルの繁殖地などが日本固有種の北限となっています。
下北半島の代名詞でもある恐山は那須火山帯に属する休火山で中心にはカルデラ湖でもある宇曾利山湖(恐山湖)があり周囲は硫気や水蒸気が噴出し植物が育たず荒涼とした空間が広がっています。
恐山の広がる空間は古くから信仰の対象となり死者の魂が集まる霊場として多くの信者が参拝に訪れ「イタコ」の風習が残り、江戸時代の紀行家で民俗学の祖とも言われる菅江真澄も下北半島に2年半程滞在し、恐山には湯治を兼ねて5回訪問しその景観を大変面白いと評して、当時の恐山の風習や信仰の様子を挿絵を交えて記しています。
下北半島は平地が少なく西側には仏ヶ浦やがんかけ岩などの景勝地があり仏ヶ浦を訪れた大町桂月は「神のわざ鬼の手造り仏宇蛇 人の世ならぬ処なりけり」と絶賛しています。菅江真澄(江戸時代の紀行家)も下北半島に滞在中し仏ヶ浦を訪れ、奇岩怪石を見て生きている仏、極楽浜を見て雪を敷いているようだと評し、山々の花も咲いて心ときめく景色であると感嘆しています。
下北半島は休火山ということもあり温泉も豊富で恐山温泉をはじめ、薬研温泉や湯野川温泉、下風呂温泉などがあります。下北半島は昭和43年(1968)に「下北半島国定公園」に指定され昭和51年(1976)に「縫道石山・縫道石の特殊植物群落」に指定、昭和59年(1984)に「国指定下北鳥獣保護区(希少鳥獣生息地)」に指定されています。
又、源義経の蝦夷地渡航伝説が下北半島にも残されています。横浜町の軽石八幡神社には義経が蝦夷地へ渡航しようとした際、波が荒かったので祈願すると急に鎮まり無事に蝦夷地に渡る事が出来たそうです。その際、海上に軽石が浮かんだ事から神意と悟り軽石八幡神社に祭り、その浜を源氏浜と呼ぶようになったと伝えられています。
むつ市脇野沢の九艘泊は下北半島の良港の1つで、ここから義経が蝦夷地に渡航したとし、その際強風が吹き荒れた為、従者である武蔵坊弁慶が琵琶石に座って琵琶を弾き海上安全を龍神に祈願したと伝えられています。
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